アラサー薬剤師@pharmbook93のブログ

一般の方向けに薬局や医療、健康に関する情報を発信!

薬局の選び方~サービス編~

前回の記事↓

pharmbook93.hatenablog.com

の続きです!

 

今回は、自分に合った薬局を選ぶため、薬局の「サービス」についてご紹介します。

前回は薬局の「種類」についてでした。)



薬局のサービス

※別途費用が発生するものも含みます。

下記に示すように、薬局には様々なサービスがあります。これらの有無によって薬局を選ぶ方法もあります。

 

かかりつけ薬剤師

かかりつけの『病院』や『医師』ではなく、『薬剤師』でもこのような言い方があります。ただ、病院や医師とは異なり、「かかりつけ薬剤師」という『制度』がある点が大きな違いです。この「かかりつけ薬剤師」になるためには一定の条件があり、相応の経験や知識を身につける必要があります。

かかりつけ薬剤師を決めたら、その薬局へすべての処方箋を提出することが好ましいです。必須ではありませんが、かかりつけ薬剤師にすべての処方箋を提出する=薬をまとめて管理、把握してもらうことが、この制度を最大限に活用するポイントです。保険の負担割合によって異なる費用が発生しますが、なんと一回あたり約90円以下!健康に関わる大切な薬をしっかり確認、管理してくれるので、すごくお得な制度ではないでしょうか?

 

アプリ

薬局のサービスとして、アプリの機能に違いがある場合も!主に下記のようなものが多いと思います。

ほかにも下記のような機能がありますが、アプリによって差があります。

  • 店舗検索
  • テキストメッセージやビデオ通話などの相談・サポート
  • 市販薬、サプリメントなどの購入
  • 検査値などの健康記録
  • 服薬アラームなどのカレンダー

アプリは、薬局の会社独自で提供している場合と、1種のアプリが複数会社の薬局とリンクしている場合があります。そのため、どのアプリを選んだかによって、おのずと選べる薬局が限られる部分もあります。

薬局のアプリについては、インスタでも詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください!【薬を受け取るまで】の機能として「処方せん送信」「できあがり呼出」「オンライン服薬指導」ついて紹介しています。

 

※ほかの薬局で同じアプリは使えない?

よく誤解されていると感じる点があります。1つのアプリを入れると、そこと同じ薬局や系列の店舗、会社でしか使えないと思われてしまうことです。確かに薬局としては、同じ薬局や系列のところに繰り返し来ていただきたいので、そのような機能が目立ってしまいます。

しかしお薬手帳という機能に関しては『薬の情報を他所でも共有できるようにする』という役割があるため、ほかの所に行っても閲覧できるような仕組みになっています。詳細は別途下記に示します。

 

お薬手帳

の手帳だと、お家に忘れてしまったり、持ち歩くのに不便であったりしませんか?アプリでも紙と同様に薬局で利用することができます。

また上記「かかりつけ薬剤師」と同様に、手帳というツールも『制度』として薬局で取り組まれている仕組みです。差額は数十円ですが、手帳の持参有無によって負担額が軽くなる場合があります。これは手帳によって、処方の適正や薬の組み合わせなどを確認しやすくできるからです。

アプリによって取り込みの方法にも違いがあります。自分で入力したり、二次元バーコードを読み取ったり。何も操作しなくても、自動で登録されるものもあります。

 

処方箋送信

処方箋の画像を撮影・送信して、薬局に行く前に薬の用意(調剤)を始めてもらう機能です。これによって待ち時間の短縮が期待できます。

用意完了が通知されるアプリも!この場合は、待ち時間を薬局の外で過ごす事ができます。店内での待ち時間は(ほぼ)ゼロです!

まだあまり普及していませんが、紙ではない『電子処方箋』がアプリで管理できるものもあるようです。

 

オンライン服薬指導

薬の説明や確認など、薬局まで行って受けていたことがオンラインで可能に!薬の受け取りは宅配であることが多いです。

ただ、このサービスの利用にはいくつか条件があります。それは薬局・薬剤師が原則、『処方箋の原本を確認する』まで、患者へ薬を渡すことができないからです。詳細はとても複雑なので、ここでは割愛しますが、医師によるオンライン診療や電子処方箋がさらに普及していくと、この機能の利便性も高まると思います。

 

在宅医療・訪問サービス

特に高齢の方外出が難しい病気の方は、ご自宅・お住まいで医療を受けられるように薬剤師が訪問することがあります。薬剤師が患者さんの住まいで薬の管理や確認、指導をすることで、より安心安全な医療を受けることができます。

これについても上記アプリの機能「オンライン服薬指導」と同様に、いくつか条件があります。保険の種類や薬局の人員、訪問の頻度、費用の負担など様々です。

薬局の在宅医療については、インスタで詳しく紹介していますので、そちらも併せてご覧ください!



※薬の『宅配』サービスについて

薬を薬局で受け取らず、『宅配』で受け取るサービスがありますが、便利な一方で注意が必要です。「宅配」と聞くと「医師に診てもらって、あとは家で待つだけ」と思われるかもしれませんが、薬剤師と患者さんとでやりとりをする必要があります。

上記アプリの機能「オンライン服薬指導」や「在宅医療・訪問サービス」にも関連しますが、処方薬を受け取るまでには条件や順序があります。既述のとおり、薬局・薬剤師は原則、『処方箋の原本を確認する』まで、患者へ薬を渡すことができないとされています。また実際に薬を渡す前には『患者の状態を対面、もしくは対面に準じる方法で確認する』必要もあるのです。この「対面に準じる方法」が「オンライン服薬指導」です。これらの条件・順序が、『薬局の外』で薬を受け取る場合の注意につながります。

処方箋が患者さんに渡されている場合、薬局は処方箋の原本を確認するまで、薬を発送することができません。この「原本」という点もポイントで、コピーやFAX、画像ではいけません。同じ処方箋を他の薬局でも受付し、薬を重複して受け取られてしまう恐れがあるからです。1つの処方箋で、複数の薬局に提出することはできないのです。

患者さんが処方箋を受け取って、薬局に立ち寄らずにそのまま帰宅すると、処方箋は改めて直接、薬局に持参するか、薬局へ送る=郵便等で『配達』する必要があります。薬を「宅配」してもらうために、処方箋を『配達』するということが生じます。現在は「電子処方箋」という形がスタートしていますが、まだ普及していない地域が多数であろうと思います。

一方で、処方箋は患者に渡されず、病院等から薬局へ渡されるケースもあります。「在宅医療・訪問サービス」や医師の診察がオンラインであった場合に多いケースです。このようなケースでは、処方箋が「原本」である必要性はなくなり、コピーやFAX、画像で代用することができます。

処方箋を確認した次は、『患者の状態を対面、もしくは対面に準じる方法で確認する』という順序があります。これは、薬剤師が処方箋の内容を適正であるか判断するためです。同じ処方内容であっても、患者の状態によっては薬剤師が医師に問い合わせて訂正することがあります。「医師が適正でなかった」と言うと聞こえが悪いですが、薬の専門家である薬剤師が患者さんの状態を確認することで、より適正な医療を提供します。その過程で、医師との診察ですでに話したことを改めて聞かれることもあるかもしれません。億劫に感じることもあるかもしれませんが、安全に薬を使うためにどうかご協力ください!



最後に

「薬局の選び方」と題して、薬局の「種類」(前回の記事)と「サービス」について、2つの記事に分けてご紹介しました。今、利用されている薬局と比較して「こんな違いがあるのか」とか「知らないサービスがあった」とか、少しでもためになる情報があったなら幸いです。

薬剤師として働いていると、患者さんに知ってもらえていないために、不便に感じられてしまったり、説明を聞いてもらえなかったりすることが多々あります。こちらの働きかけが不十分な部分もあると思いますが、多種多様な薬局があるために業界自体が複雑で、分かりにくくなっていることも1つの要因だと思います。この記事をきっかけに、薬局のことをもっと知っていただき、便利に活用していただければと思います!