アラサー薬剤師@pharmbook93のブログ

一般の方向けに薬局や医療、健康に関する情報を発信!

かかりつけ薬局・薬剤師

※追記20240212:画像を追加しました(「薬局の『24時間対応』に関する“誤解”と“お願い”」、「かかりつけの活用方法~投資と同じ?~」)。

 

もう2月ですが…新年明けましておめでとうございます(笑)

アラサー薬剤師@pharmbook93です。昨年から始めたインスタ、ブログなどでの情報発信ですが、おかげさまで少しずつフォロワー様が増えていて、とても嬉しいです!

今回は、かかりつけ薬局・薬剤師に関する記事です。また“かかりつけ”と関連して、薬局の「24時間対応」についても触れていますので、気になる方はぜひご覧ください。

 

目次

 

誰でもできる? 「かかりつけ薬剤師」の要件

私はちょうど1年ほど前に、現在の店舗に異動して来ました。そのため、1年が経ったこのタイミングで「かかりつけ薬剤師」として働くことができます。患者様の“専属・担当”の薬剤師になれる、ということです。異動する前の店舗でも経験している“かかりつけ”ですが、その薬局に「1年以上在籍している」という要件(条件)があるために、これまで担当となることができませんでした。

この他にも「かかりつけ薬剤師」にはいくつか要件があります。今回の記事では、そういった“かかりつけ”の要件、他の薬局・薬剤師とどう違うのか、何ができるのかについて紹介していきます!

 

かかりつけ薬剤師の要件 

  • 薬剤師として薬局での勤務経験が3年以上
  • 薬剤師の研修認定等を取得している
  • 医療に関する地域活動に参画している
  • その薬局に週32時間以上勤め、かつ1年以上在籍している

上記の他、店舗自体の体制に関する要件もあり、薬局ならどこででも「かかりつけ薬剤師」になれるわけではありません。患者さんへ充分なサービスを提供できる体制がある薬局、充分な経験やスキルを身につけた薬剤師が“かかりつけ”となることができます。

 

 

“かかりつけ”ができること

薬やサプリメント、健康食品などを全部まとめてチェック!

種類がどんどん増えている薬やサプリメント。それらすべての飲み合わせ・組み合わせを確認することは、実はすごく困難です。内科はA医院、歯科はBクリニック、皮膚科はC病院などと複数の医療機関にかかられている場合はなおさらです。一人の薬剤師がそれらをまとめて管理・把握することで、安心して治療に専念することができます。

医師が処方する薬に限らず、自分で購入できるようなOTC(市販薬)やサプリメントなども色々なものが存在し、その分、沢山の選択肢ができています。どれにしようか、どうしようか悩まれている時の相談相手が「かかりつけ薬剤師」です。

 

薬を飲みやすく、使いやすく、そして保管・管理まで

自分のことをよく知ってくれている薬剤師が細やかな所まで把握・配慮して、薬の使用をサポートします。

「種類が多くてよくわからない」、「粉薬が苦手」、「湿布は分厚い方がいい」といった薬自体のことだけではありません。「食事が不規則だけど、必ず食後に飲まなければいけないのか」、「学校や仕事場では薬が飲みにくい」など、一人ひとりのライフスタイルに合わせた薬物治療に貢献します。また、薬には管理や保管方法に注意が必要なものもあります。冷暗所や小さいお子様の手が届かない所に保管する必要があるもの、使用開始の前と後で保管場所を変えるもの、○日単位で使用する期間が決まっているものなど、様々です。

生活・食習慣や嗜好品(アルコールや喫煙など)、車の運転や機械操作、高所作業の有無、薬の得手不得手、学校・仕事の状況、起床・就寝の時間といったことも薬に影響します。そのようなすべてをかかりつけが網羅し、薬で困ることがないようにサポートします。

 

他の医療従事者とチーム連携

医療では医師や看護師、介護やリハビリのスタッフなど沢山の医療従事者がチームとなって患者さんの治療に携わります。必要に応じて医師に処方の内容を提案したり、入院先の病院にこれまでの薬や経緯などを伝えたり薬局の外でも薬剤師がお役に立ちます。

特に自宅で療養されているような在宅医療では、訪問看護師や介護・リハビリのスタッフなどとも連携が必要です。そういったスタッフとも情報を共有し、細やかな所まで患者さんの治療に貢献します。

 

薬局の「24時間対応」に関する“誤解”と“お願い”

「かかりつけ薬局・薬剤師」を紹介する場合に、多くのサイトなどで「24時間対応します!」という内容が記されています。しかし、実際に現場で従事する薬剤師としては、少し乱暴な表現の紹介が多い印象です。

以前と異なり、近年は薬局でも24時間対応できる体制が求められています。実際、私の所属する会社、店舗でも薬の説明書などに電話番号を載せて、24時間連絡がつくような体制を整えています。様々な対応体制があろうと思いますが、私の会社では、店舗ごとに支給されるスマホ1台を、店舗のスタッフが勤務終了後に持ち帰って対応しています。患者さんから問い合わせがあった場合にはそのスマホにつながり、対応します。ただし、あくまで営業時間外、勤務時間外になるため、四六時中スマホの着信に備えているわけではありません。店舗の時間外にも勤務体制があるようなコールセンターと誤解されている場合がありますが、私が知る限りそういった体制がある薬局はありません。あったとしてもごく少数であろうと思います。

“かかりつけ”として、少しでも患者さんからの要望に応えるために、このような体制をとっています。しかし、すべての要望に応えることは難しいです。緊急を要する場合は、救急外来や119番へご連絡ください。

 

 

“かかりつけ”になってもらう手順・費用

  1. かかりつけになってほしい薬局・薬剤師を見つける
  2. 所定の用紙に署名をする
  3. 次回の処方から、かかりつけ薬剤師に薬を渡された際に別途費用が発生する

費用は保険の負担割合に応じて変わります。3割の場合は1回あたり60~100円程度です。この費用で健康に関わる大切な薬をしっかり確認、管理してもらえます!すごくお得な制度ではないでしょうか?

 

かかりつけの活用方法~投資と同じ?~

最近、一般の方にもNISAやiDeCoなどで『早く始めて、長く続ける』ことが大切とされる投資の話題が取り上げられています。実はかかりつけも同じで『早く始めて、長く続ける』ことでメリットが大きくなります。その理由は、情報量です。

初めての薬局で副作用歴(薬が体に合わなかったような経験)を聞かれて、困ったことはないでしょうか。「昔、風邪薬で発疹が出たことがあるけど、名前など詳しく覚えていない」、「気持ち悪くなったことがあるけど、そもそも薬が原因だったのか自信がない」などということは珍しくありません。しかし、この『副作用歴』という情報はとても重要なもので、特に初めての患者さんには必ず確認するポイントです。よく「小さい時のことだから大丈夫」を思われる方がいますが、薬によるアレルギー反応は大人になっても生じ、時には重篤な体調悪化を引き起こす恐れがあります。

そこで『かかりつけ』です。幼少期から早く決めておくことで、合わなかった薬の情報を正確に記録しておくことができます。大人になるまで長くかかりつけ薬局を決めていれば、幼少期の経験であっても薬の適正をチェックしてもらえます。記録をもとに医師へ問い合わせ、合わない薬を使用することがないよう、体調悪化を防ぐことができます。

また、かかりつけ薬局を決めたら、その薬局へすべての処方箋を提出することが好ましいです。A内科、B歯科、Cクリニック、どこからの処方箋もかかりつけ薬局へ提出してください!他の薬局に提出できないわけではありませんが…かかりつけ薬局にすべての処方箋を提出する=薬をまとめて管理、把握してもらうことが、この制度を最大限に活用するポイントです。薬の情報患者さん自身の情報すべて網羅して、薬物治療、健康に貢献することが、かかりつけ薬局・薬剤師の役割です。

そして当たり前なのですが、意外と注意していただきたいこと。かかりつけ薬剤師は患者さん1名に対し1名だけです。「かかりつけ」という言葉通り、別の薬局にもかかりつけ薬剤師を決める、ということはできません。保険の請求に影響する恐れがあるため、引っ越しなどで他にかかりつけを変更される場合は、お申し出ください。

 

 

かかりつけ“薬剤師”と、かかりつけ“医師”

異動する前の店舗で私一人が担当していたのは、100名以上の患者さんです。正直それだけの方を担当することは大変でしたが、より深く患者さんの治療に貢献できることに大きなやりがいを感じてもいました。一方で薬剤師の機能をご理解いただけていないために、お役に立てなかったことも少なくありません。

「かかりつけ」と聞くと医師、かかりつけの“先生”をイメージされることの方が多いかもしれません。医師であれば「100名なんて少ない人数」と思われるかもしれませんが、薬剤師とは簡単に比較できない点があります。それは専門とする診療科の存在です。医師は基本的に専門の科で限られた薬を取り扱っています。しかし薬局の薬剤師は、すべての診療科の薬を受け付け、取り扱います。医師が専門外の薬をわかっていないとか、薬剤師が大変だとか、そういったことを伝えたいわけではありません。治療方法は薬の他にも様々ですし、医師は専門外の薬でも理解し、組み合わせの適正を判断するスキルを有しています。

ただこれまでの経験で痛感していることがあります。それは、複数の診療科、医療機関で薬を出されている場合、1つの薬局・薬剤師がまとめて確認・管理することが一番だということです。もちろん薬局・医療機関の立地や生活、仕事、時間の都合など、難しい点があることは重々承知しています。それでも、1つにまとめる、“かかりつけ”にしてもらうことが、どれだけ薬の安全につながるのか、適正な使用に貢献できるのかと、かかりつけ薬剤師を経験して感じています。お薬手帳がこれだけ周知されていても、まったく同じ薬が重複していたり、一緒にしてはいけない薬が出ていたり、使い方が間違っていたりすることが多いです。実際に誤りが生じています。

別途、費用が発生する「かかりつけ“薬剤師”」まで決めなくても、かかりつけ“薬局”だけでも決めていただくことで、店舗内で情報が共有され、かかりつけの機能を発揮できる部分があります。最近はスマホのアプリで、簡単に処方内容を送ることができます。昔に比べれば、薬局をまとめやすくなっているはずです。アプリが苦手でも、薬局で操作方法を懇切丁寧にお伝えします。医療機関をまとめることはできなくても、薬局・薬剤師をまとめることは可能です。ぜひ「かかりつけ薬局・薬剤師」を選んでください!

年末のご挨拶と薬局薬剤師の1日

新型コロナウイルスの分類が5類へ移行した2023年も、終わりを迎えようとしています。「コロナ明け」と各所で言われていることに、少し心配な気持ちを抱きつつ…今日で仕事納めのアラサー薬剤師です。今年はインスタを中心とした情報発信をスタートしつつ、実際の仕事では、新しい店舗で在宅医療(薬剤師の居宅訪問サービス)を開始した一年でした。
来年の目標は…あまりないのですが(笑)

  • インスタ、ブログでの情報発信を継続する(少なくとも月に1回以上の頻度で)
  • かかりつけ薬剤師としてのスキルを磨く(来年からその資格要件が満たされるため)

ということを、ここで宣言させていただきます!

なので来年もぜひ、このブログやインスタ等をご覧いただければと思います。よろしくお願いいたします。

来年は辰年~哀愁が漂うタツノオトシゴ@神戸の水族館

さて前置きが長くなってしまいましたが、今回記事のメインは「薬局薬剤師の1日」です。

 

※注意!

今回は、処方箋による外来・在宅の調剤をメイン業務としている薬局のケースです。この他にも、いわゆるドラッグストアのような食品、日用品などを幅広く取り扱っているような店舗や、市販の薬が充実しているような店舗など様々なケースがあるので、一つの例としてお楽しみください。

 

開局準備

9:00~

学生のころは、正直あまりイメージしていませんでしたが、薬とは直接関わらない業務というものも当然あります。薬局も「店」であるので、お会計、レジが必要です。前日まで保管していた現金を数えたり、お釣りの用意をしたり。患者様、お客様を迎えるため、清掃や飲み水の補充もスタッフとしてできなければいけません。

コロナ禍になってからは、消毒作業がより念入りに行われるようになりました。患者さんが使う待合スペースはもちろん、初回質問(問診)票に使う筆記具やカウンター台、パテーションのほか、スタッフ同士の感染を防ぐため、休憩のスペースもしっかり消毒します。

調剤では薬を一回分ごとに袋に分けまとめたり、粉薬や塗り薬を量ったりする機械があります。薬の使い方や説明書きも重要で、それらを紙へ印刷するプリンターも大切です。これらが正常に動くか、薬の量や状態に問題がないか確認するテスト操作毎日行っています。

 

開局

9:30~

混雑する時には、オープン前に患者さんが並んでいることもあります。最近は、アプリで事前に処方内容を送信されるケースもありますが、薬の用意は開局の時間になってから開始になってしまうことも少なくありません。前述のような開局前の準備は安全、正確性を保つために必須であるため、事前に送っていただいていても時間を要することをご理解いただきたいです。まれに早朝、深夜に処方内容のアプリ送信をされます。便利な一方で、薬局の営業時間であることを認識いただけていないこともあります。


外来業務

患者さんの居宅を訪問する「在宅業務」と区別して、処方箋を薬局にお持ちいただいた場合を「外来業務」と言っています。これが患者さんにとって、目に見えている薬局の業務部分かと思います。しかし、薬局では前述のような開局前の準備や、後述する「在宅業務」、「相談・フォローアップ業務」、閉局後の業務など、普段は見られていないような業務もたくさんあります。

*1


在宅業務

前述の通り、薬剤師(場合によっては他のスタッフも)が患者さんの居宅を訪問し、薬に関するサービス、服薬管理・指導を行う業務もあります。週に◯回、月に◯回と予定されているだけでなく、急遽、予定外に患者さんのもとへ行かなければいけない!というケースもあります。それに対応している間は残りのスタッフが外来業務を行いますが、その分の補充スタッフが来るというケースはほとんどありません。お待たせする言い訳にはなりませんが、薬局ではそういった緊急を要するような業務にも従事しているということを知っていただきたいです。

在宅医療についてはインスタでも投稿しているので、あわせてご覧ください。

www.instagram.com

 

相談・フォローアップ業務

処方箋による外来や在宅業務のほかにも、実は行っている業務があります。それが患者さんからの相談に応じる、薬をお渡しした後の状態を確認しフォローアップする業務です。

コロナ禍でセルフメディケーションが求められるようになったことに加え、多種多様な市販薬や検査キットに関する問い合わせ、別の薬局でもらった薬について相談されることまであります。薬同士の飲み合わせはもちろん、健康全般に関しての相談も。電話だけでなく、アプリでも手軽に相談できるようになって、患者さんと薬局・薬剤師との関わりは年々深まっていると思います。

薬局→患者さんという方向でも、その関わりは重要で「フォローアップ」という言葉で表現されることが多いです。薬剤師から患者さんに連絡をさせていただき、薬を使った後の状態を伺います。薬剤師の業務は「薬を渡す」までと思われがちですが、本来は「薬で治療する、健康になってもらう」ことです。そのためには薬を使った後に、効いたかどうか、効きすぎていないか、副作用はないか、続けられているか、と患者さんをフォローすることが必要です。近年、取り組まれるようになってきた業務ですが、これからさらに需要が増していく部分だと思います。


閉局

19:30

薬局の営業時間は、店舗により様々です。19:30は遅い方で、大抵は9:00~18:00くらいが多いかと思います。しかし近年は、医療機関の時間が長くなっている、遅い時間にも診療しているという場合も増えている印象です。特に「門前薬局」と言われる店舗では、その時間に合わせて薬局も営業していることが多いと思います。「門前薬局」など、薬局の種類については下記ブログ記事や、インスタでも紹介しています。

pharmbook93.hatenablog.com

www.instagram.com

閉局後に、残業することも多々あります。主に「薬歴」という記録の記載業務は(あまり知られてはいませんが)、薬物治療を行う上で重要な業務です。一方で、営業時間中に記載を終えることができず、残業になってしまう。そのために患者さんとお話する時間を確保できず、歯がゆいい思いをしているという薬剤師もたくさんいると思います(詳細は後日の記事で触れたいと思います)。

そのほか、後日交付予定の患者さんの薬を用意したり、機材・システムのメンテナンスをしたり、営業が終わってもお仕事は続きます。

 


今回はここまで!

次回はより具体的な業務内容として、処方箋の受付から薬のお渡しまでの流れや、「薬歴」という薬剤師が行う記録の記載業務、在宅業務の詳細を記事にしようと思います!お楽しみに!!
皆様、良いお年をお迎えください

*1:病院の中にある薬局(薬剤部)の場合は、入院されている方への「院内調剤」と区別する意味でも用いられる言葉です。

お薬手帳アプリの「ワンタイムコード」について

お薬手帳をアプリにしている方、「ワンタイムコード」の出し方わかりますか?紙の手帳と同じように手帳の内容を薬剤師に見せるための機能です。

※2023.11.23 加筆1:記事へタグをつけました/加筆2:「ワンタイムコードの利用方法」を追加しました。

 

e薬Link(イークスリンク)®:「ワンタイムコード」を提供している仕組みの名称


普段、薬局で働いていると感じることですが、お薬手帳をアプリにされている時の確認が少し大変です。理由はその「ワンタイムコード」(「ワンタイム"パス"コード」と表記されている場合もある)の出し方を患者さんがご存知ないことが多く、手帳の確認がスムーズにできないからです。

今回はその「ワンタイムコード」の利用方法、特に出し方=発行方法のほか、紙とアプリのお薬手帳の違いについてご紹介します。

 

目次

 


「ワンタイムコード」とは?

そもそもお薬手帳は、他の薬局や病院などに行かれた際に、薬や治療の内容、副作用やアレルギーの経験について薬剤師や医師などに確認してもらうためのものです。

ただ、手帳をアプリにされた方は『他人に見せる』という感覚が薄れてしまったりスマホ画面を見せたくないという気持ちになったりして、薬局での確認がスムーズに進まないことも少なくありません。そんな場合に利用されるのがe薬Link(イークスリンク)®「ワンタイムコード」です。

アルファベットと数字からなるコードを薬局のスタッフへ伝えることで、手帳アプリに記録された薬の情報をスタッフが一時的に閲覧できるようになります。

 

以下、ホームページより抜粋です。

www.nichiyaku.or.jp

「e薬Link(イークスリンク)®」は、日本薬剤師会が提供する、 異なる電子お薬手帳アプリの内容を、相互に閲覧することを可能にする仕組みです。旅行先での急病など、いつもと違う薬局にかかったとしても、この仕組みに対応しているアプリと薬局であれば、患者さんの同意のもと、薬剤師は電子お薬手帳のデータを閲覧することができるので、安全に患者さんにお薬をお渡しすることができます。

この「e薬Link(イークスリンク)®」=「ワンタイムコード」によってスマホ画面を他人に見せることなく、手帳の内容を確認してもらうことができます。

 

ワンタイムコードの利用方法

  1. アプリでワンタイムコードを発行

    コードと合わせて、バーコードやQRコードが表示されるアプリもあります。
  2. コードを薬局へ伝える

    コードが表示された画面を見せるか、口頭で伝えてください。
  3. 薬局がパソコンで薬の情報を閲覧

    コードを使って、アプリに登録された薬の情報を閲覧できるようになります。

 

ワンタイムコードの出し方、発行方法

アプリによってワンタイムコードを発行する画面上の文言、記載のされ方が異なります。この統一されていないことも、確認がスムーズに進まない要因であろうと思います…。なので今回は、いくつかの例を紹介します。

例1「e薬Link®」アイコン

参考:EPARK お薬手帳 - 株式会社くすりの窓口

このアイコン記載と、以降の事例の組み合わせが多いパターンかと思います。


例2「提示」「見せる」

参考:アインおくすり手帳 - Wemex Corporation

参考:kakari - MedPeer, Inc.


例3「共有」

参考:薬急便 - LINEミニアプリ




例4「設定」

参考:日本調剤お薬手帳プラス - 日本調剤株式会社

上記例1〜3の他に「設定」の画面から発行に進む場合もあります。

 

このように「ワンタイムコード」の発行方法、手順がアプリによって異なります。薬局の受付薬を受け取るカウンターで、このコードを聞かれることが多いと思うので、あらかじめご用意をお願いします。

 


ワンタイムコードの注意事項

有効期限がある

「ワンタイム」なので、一時的にアプリに記録された情報を閲覧できるようにするパスコードです。有効期限は数十分程度と限られているので、薬剤師や薬局スタッフへ伝える直前にコード発行をお願いします。

 

閲覧できる範囲が限られている

手帳には薬自体の情報の他に、薬がカラダに合わなかったような副作用、食べ物や花粉などのアレルギー、手術や病気などの既往歴といった情報も記録することができます。しかし、ワンタイムコードを用いた閲覧の場合、その範囲は薬に関するもの(処方した病院・クリニックや品名、量、日付、日数など)に限られます。初めての薬局では、問診(質問)票への回答を求められると思いますので、そちらへ副作用・アレルギーの経験や既往歴をお答えください。いつもの同じ薬局でも、経験が増えたり、手術を受けたりして以前とは状態が変わった際には教えてください。


会員登録やログインが必要な場合がある

アプリを利用する事前準備として、会員登録やログインの操作が必要な場合があります。一度操作しておけば、以降は不要な場合が多いと思います。ただログインのIDやパスワードがわからなかったり、操作が面倒であったり、すぐにできなかったりすることがあろうと思います。あらかじめアプリの操作に慣れておく会員登録・ログインを済ませておくと薬局での対応がスムーズです。


ごく一部の薬局・アプリが対応していない場合がある

日本薬剤師会という組織が提供している仕組みのため、ほとんどの薬局が対応しているものです。しかし義務付けられているものではないため、ごく一部では対応していない場合もあるようです。お手持ちのアプリが対応していたとしても、行った先の薬局が対応していない可能性もないわけではありません。薬局の対応状況については、申し訳ありませんがご自身で利用される薬局へご確認ください。
アプリの対応については、下記ページで公開されています。お手持ちのアプリが掲載されているかご確認ください。まだアプリをお持ちでない方は、ぜひ掲載されているアプリの中からダウンロードをご検討ください!

www.nichiyaku.or.jp

 


紙とアプリどっちがいいの?

すばり一長一短です。それぞれのメリット・デメリット、違いを下記に示しますので、自分に合った方をお使いください。私のオススメも、最後にご紹介します。

メリット

  • 記録しやすい(シールや用紙を貼る、書き込むだけ)
  • 薬以外の情報が確認しやすい(副作用・アレルギー・既往歴など)
  • 電気が不要(ブラックアウト時に有用)

デメリット

  • 持ち歩きの不便さ(急な受診での持参忘れ)
  • 紛失時のバックアップがない(災害時に濡れる、燃える)
  • 記録できる量に制限がある(ページが一杯になって冊数が増える)

 

アプリ

メリット

  • 持ち歩きに便利(スマホ内にあるので持参忘れがない)
  • 紛失時のバックアップがある(会員登録、ログインにより情報を復帰)
  • 多くの情報を記録できる(紙の手帳の何冊分にもなる)

デメリット

  • 記録・操作性に難がある(高齢者にとってのハードルの高さやアプリによる差異)
  • 薬以外の情報が確認しにくい(副作用・アレルギー・既往歴などはワンタイムコードで確認できない)
  • 電気が必要(ブラックアウト時に使いにくい)

そして最後に、私のオススメをご紹介します!それは…

どっちもです(笑)正確には、使い分ける方法です。

  • 普段の持ち歩き定期受診いつもの薬局に行く時
    アプリ
  • スマホ、電気が使えなくなった際のバックアップや予定していた入院初めての病院、薬局に行く時

…とすると良いトコどりができようかと思います!どちらも使えるようにするために、薬局では

QRコード(二次元バーコード)が印刷された説明書や明細書》などと、

《手帳に貼るシールや用紙》両方ともをもらうようにしましょう。


実はワンタイムコードやアプリの機能については、インスタのはじめの方で投稿していますので、合わせてご覧いただけると嬉しいです。よろしくお願いします!

薬の不足とその原因・皆さんへのお願い

最近、せき止めや痰切りの薬が不足しているという報道が目立っています。間違ってはいませんが、少し誤解されかねない内容の報道もありました。「最近になって始まった事ではない」という時期的な認識の不一致だけでなく、そのほかにもいくつか思うことがありますのでブログにしたいと思います!

 

目次

 

せき止め、痰切りだけじゃない!-薬全般の不足

 「せき止め」と「痰切り」の薬が大きく注目されていますが、他にも足りていない薬は沢山あります。抗菌薬(抗生物質)や胃腸薬、メンタルに使われる薬など、ここには記載できないほど様々な医薬品に影響が出ており、毎日のように状況が変化しています。

「薬全般が不足している」という状況を、分かりやすく伝えるための一例として、これらの薬が取り上げられる分には良いと思います。ただ、分かりやすさを追及するあまり、偏った、一部の薬が入手できないと認識されかねないような報道の仕方はしないでほしいと思います。後述しますが、一時的に使うような薬のほか、継続して使用するような薬でも不足し、入手が困難なものがあります。

 

 

ジェネリックが悪い?-不足原因の誤った認識

「どうして薬が不足しているのか」その原因を正しく伝えることで、偏った、一部の薬がないという誤解が解けると思います。多くの報道では『ジェネリック医薬品』(以下ジェネリック)そのものに原因があるというような、単純な説明がされてしまっていますが決してそうではありません。

ことの発端は2020年。ある製薬会社の薬によって、健康被害が生じたことにあります。その会社の薬に、まったく別の薬の成分が混入していたために被害が出てしまいました。これを機に他の製薬会社でも薬の製造工程が適切に行われているか検査、捜査が入りますが、それから立て続けに不適切な工程が発覚しました。最初の薬がジェネリックであったために、その信用が損なわれた経緯があります。

 

しかし「製造工程が適切かどうか」という点と、ジェネリックかどうか」という点はイコールではありません。実際、ジェネリックかどうかに関わらず、現在の流通・供給の状況は変動しており、もともとジェネリックではない先発医薬品を使用されていた方でも薬が不足するような状況です。

2020年の発覚から、3年以上の長きに渡って問題が続いている原因は、『ジェネリック』とは別にあります。それはコロナ禍世界情勢です。薬は日本国内に限らず、世界各国から薬そのものや、その材料を輸入して製造され、流通・供給されています。薬に限った話でありませんが、感染症への対策や戦争、紛争によって、これまでと同様にモノを入手することができなくなっています。

皆さんは覚えているでしょうか。新型コロナウイルスのワクチンを他国から入手しようとしていた時、国同士での交渉が行われていました。しかし、せっかく手に入れたワクチンが適切に保管されなかったり、身勝手に接種予約がキャンセルされてしまったりして、無駄に廃棄せざるを得ない問題がありました。医薬品は命にかかわる重要なモノで、それが今までのように製造、流通・供給されていない現状は、国際的な大きな問題です。ひとつの薬局・店舗で解決できるような問題ではありません。

 

 

皆さんへのお願い-必要な薬・代わりの薬

薬が不足しているために、代わりの薬をたくさん用意したり、まだかろうじてある在庫をいつもより多くしたりします。すると需要が急に増した分、製造が追いつかずにさらに薬が不足してしまうという悪循環が生まれています。この悪循環を解消するため、皆さんには下記のことをお願いしたいです。

 

1.軽度の風邪やケガなどで一時的な受診をする方

症状・状態に対して本当に必要な薬を、必要な日数(回数)で処方してもらってください。薬の内容を決めるのは医師の役割です。しかし、そのためには自分の症状・状態を正確に伝えることが大切です。『風邪』だからといって必ずしも、咳や痰(もしくは鼻水・鼻づまり)が生じるわけではありません。発熱、だるさ、吐き気といった症状ケガの場所や痛みの程度といった状態など、自分が今困っている、辛いことをしっかりと伝えることで、医師も必要な薬を、必要な量で処方しやすくなります。中には、常備したい薬や予防、備えとしての薬*1を余分に出してもらいたい方もいらっしゃるかもしれません。現在の薬が不足した状況を踏まえて、可能であれば控えていただくことをお願いします。

場合によっては、市販の、自分で購入できるような薬で対処できることもあります。受診しようか迷われた際には、ぜひ薬剤師にご相談ください!

 

2.以前から継続して受診されている方

薬のお渡し方法、変更に関する薬局からの説明を、よく聞いていただきたいと思います。定期的にもらっている薬が不足している場合、一部をお渡しして残りの不足分を後ほど送付(もしくは後日の受け取り)とさせていただくことがあります。また、薬の入手・納品の見通しが立たない場合には、代わりの薬=代替薬をお渡しすることがあります。そういった場合には、処方箋の確認や医師への問い合わせ、薬の手配に時間がかかることをご理解いただきたいです。

入手・納品の見通しが立たないような薬の場合、最初からその代替薬が処方箋に記載されていれば良いのですが、そうではない場合も少なくありません(私個人の体感としては、記載されていないことが大半です…)。医師の中には不足の状況が把握できていない、把握していても、ダメ元で処方箋に不足している薬を記載するケースがあります。そういったケースでは、処方箋の内容を変更する手続き(疑義照会)が必要で、薬局から医療機関、医師に問い合わせを行います。回答をいただくまでは薬をご用意することができず、時間がかかってしまうこともあります。

「なぜ医師の指示通りの薬を用意しないのか」

「医師が処方しているのだから不足していない、あるはずだ」

と思われる方がいますが、医療機関、医師でも状況が把握しきれないほど『薬不足』という問題は大きく、複雑になっています。薬を後からお渡しする、代わりの薬になるといった場合には、上記のような経緯、背景があることをご理解いただきたいと思います。

また、薬の成分は変わらずとも、製造会社、メーカーを変更するというケースもあります。同じ成分の薬を複数の会社が製造している場合、そのうちの1社の製造が停止することで他の会社にそのしわ寄せが生じ、他の会社の製造も間に合わなくなるという悪循環があるからです。これはジェネリックでも、そうではない先発医薬品でも、どちらでも生じている状況です。

ご希望の製造会社、メーカーのものが入手できないこともあります。特にこの状況は、お住いの地域やその薬局・店舗によって目まぐるしく変化しているので、その都度、薬局からの説明を受けてご対応をお願いします。

 

 

最後に

こんな雑多なブログを読んでくださり、ありがとうございます!日常業務の中で、今回のような問題・事情を患者さまへ説明しようにも、なかなか説明しきれない部分があり、ブログにしてみました。このような薬不足の状況はまだまだ終わりそうにありませんが、ぜひブログの内容を踏まえて薬局・薬剤師のことをもっと知っていただければ嬉しいです。

 

↓インスタでも投稿しています!

ブログと合わせてぜひご覧ください。

 

*1:※原則として医師に処方される薬は、受診した時点での状態に適したものです。「風邪をひいた時に備えて出してもらう薬」よりも、症状が出た都度、受診してより適した薬を処方してもらいましょう。

厚生労働省も主催「薬と健康の週間」がスタート!

間もなく「薬と健康の週間」が始まります!あまり宣伝されておらず、認知度も低いようなので…微力ながらこのブログでも紹介したいと思います!!



 

目的-薬剤師の重要な役割

医薬品を正しく使用することの大切さ、そのために薬剤師が果たす役割の大切さを一人でも多くの方に知ってもらうために、毎年10月17日~23日の一週間、ポスターなどを用いて積極的な啓発活動を行う週間です。

薬と健康の週間 ポスター

活動内容-全国で展開!

ポスターなどの広報活動のほか、地域によってはイベントの開催も。主催は厚生労働省に加え都道府県、全国の薬剤師会も参加しており、大規模なものです。
配布されるパンフレット「知っておきたい薬の知識」には、薬の正しい使い方だけでなく、薬剤師の役割や薬局の活用法など、薬にまつわる情報が分かりやすくまとめられています。詳しくは後述します。

 

歴史-始まりは「昭和」

実は1978年(昭和53年)から実施されているもので、とても歴史のあるものです。アラサーである筆者は「平成」の薬学生時代に笑、イベントスタッフとして参加したこともあります。「令和」になってからももちろん続いており、薬局ではポスターの掲示やパンフレットの配布があります。
開催初日である10月17日は「薬祖神祭の日」昨年からその薬祖神さまがオリジナルキャラクターとして、ポスターやパンフレットの表紙に登場しています↓

 

パンフレット-表紙の変遷

左から令和元年~4年のパンフレット表紙


パンフレット-薬を使う人は全員必見!


開催は10月17日からですが、パンフレットはすでに厚生労働省ホームページでデータが公開されています↓

 

厚生労働省ホームページ

パンフレット「知っておきたい薬の知識」ダウンロード

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001146692.pdf

 

薬の種類や正しい使い方をはじめ、薬剤師の役割や薬局の活用法、市販の薬「OTC医薬品」など、薬にまつわる情報が分かりやすくまとめられています
ほかにも近年の話題として、インターネットを利用した購入の注意点やマイナンバーカードの健康保険証利用、電子処方箋についても紹介されています。毎年作成されているものですが、その内容は更新されているので、薬を使う人は全員が必見のパンフレットです!!

 

最後に


毎年10月17日~23日の一週間で行われている「薬と健康の週間」皆さんはご存知でしたか?厚生労働省都道府県、薬剤師会といった組織が主催する大きな取り組みですが、あまり認知されていないようなので記事にしてみました。
お住まいの地域によりイベントや広報活動などの開催状況は異なります。しかし上記のパンフレットについては、厚生労働省のホームページからダウンロードすることが可能です↓

 

厚生労働省ホームページ

パンフレット「知っておきたい薬の知識」
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001146692.pdf

 

ぜひパンフレットをゲットして、お住まいの地域での活動にもご参加ください!地域ごとの詳細は下記ページに公開されているので、ご確認ください↓

 

厚生労働省 5 主な活動 →(2)都道府県および都道府県薬剤師会などの活動

www.mhlw.go.jp

 

薬を正しく使うことの大切さや、薬剤師の役割をより深く知っていただけると嬉しいです。

薬局の選び方~サービス編~

前回の記事↓

pharmbook93.hatenablog.com

の続きです!

 

今回は、自分に合った薬局を選ぶため、薬局の「サービス」についてご紹介します。

前回は薬局の「種類」についてでした。)



薬局のサービス

※別途費用が発生するものも含みます。

下記に示すように、薬局には様々なサービスがあります。これらの有無によって薬局を選ぶ方法もあります。

 

かかりつけ薬剤師

かかりつけの『病院』や『医師』ではなく、『薬剤師』でもこのような言い方があります。ただ、病院や医師とは異なり、「かかりつけ薬剤師」という『制度』がある点が大きな違いです。この「かかりつけ薬剤師」になるためには一定の条件があり、相応の経験や知識を身につける必要があります。

かかりつけ薬剤師を決めたら、その薬局へすべての処方箋を提出することが好ましいです。必須ではありませんが、かかりつけ薬剤師にすべての処方箋を提出する=薬をまとめて管理、把握してもらうことが、この制度を最大限に活用するポイントです。保険の負担割合によって異なる費用が発生しますが、なんと一回あたり約90円以下!健康に関わる大切な薬をしっかり確認、管理してくれるので、すごくお得な制度ではないでしょうか?

 

アプリ

薬局のサービスとして、アプリの機能に違いがある場合も!主に下記のようなものが多いと思います。

ほかにも下記のような機能がありますが、アプリによって差があります。

  • 店舗検索
  • テキストメッセージやビデオ通話などの相談・サポート
  • 市販薬、サプリメントなどの購入
  • 検査値などの健康記録
  • 服薬アラームなどのカレンダー

アプリは、薬局の会社独自で提供している場合と、1種のアプリが複数会社の薬局とリンクしている場合があります。そのため、どのアプリを選んだかによって、おのずと選べる薬局が限られる部分もあります。

薬局のアプリについては、インスタでも詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください!【薬を受け取るまで】の機能として「処方せん送信」「できあがり呼出」「オンライン服薬指導」ついて紹介しています。

 

※ほかの薬局で同じアプリは使えない?

よく誤解されていると感じる点があります。1つのアプリを入れると、そこと同じ薬局や系列の店舗、会社でしか使えないと思われてしまうことです。確かに薬局としては、同じ薬局や系列のところに繰り返し来ていただきたいので、そのような機能が目立ってしまいます。

しかしお薬手帳という機能に関しては『薬の情報を他所でも共有できるようにする』という役割があるため、ほかの所に行っても閲覧できるような仕組みになっています。詳細は別途下記に示します。

 

お薬手帳

の手帳だと、お家に忘れてしまったり、持ち歩くのに不便であったりしませんか?アプリでも紙と同様に薬局で利用することができます。

また上記「かかりつけ薬剤師」と同様に、手帳というツールも『制度』として薬局で取り組まれている仕組みです。差額は数十円ですが、手帳の持参有無によって負担額が軽くなる場合があります。これは手帳によって、処方の適正や薬の組み合わせなどを確認しやすくできるからです。

アプリによって取り込みの方法にも違いがあります。自分で入力したり、二次元バーコードを読み取ったり。何も操作しなくても、自動で登録されるものもあります。

 

処方箋送信

処方箋の画像を撮影・送信して、薬局に行く前に薬の用意(調剤)を始めてもらう機能です。これによって待ち時間の短縮が期待できます。

用意完了が通知されるアプリも!この場合は、待ち時間を薬局の外で過ごす事ができます。店内での待ち時間は(ほぼ)ゼロです!

まだあまり普及していませんが、紙ではない『電子処方箋』がアプリで管理できるものもあるようです。

 

オンライン服薬指導

薬の説明や確認など、薬局まで行って受けていたことがオンラインで可能に!薬の受け取りは宅配であることが多いです。

ただ、このサービスの利用にはいくつか条件があります。それは薬局・薬剤師が原則、『処方箋の原本を確認する』まで、患者へ薬を渡すことができないからです。詳細はとても複雑なので、ここでは割愛しますが、医師によるオンライン診療や電子処方箋がさらに普及していくと、この機能の利便性も高まると思います。

 

在宅医療・訪問サービス

特に高齢の方外出が難しい病気の方は、ご自宅・お住まいで医療を受けられるように薬剤師が訪問することがあります。薬剤師が患者さんの住まいで薬の管理や確認、指導をすることで、より安心安全な医療を受けることができます。

これについても上記アプリの機能「オンライン服薬指導」と同様に、いくつか条件があります。保険の種類や薬局の人員、訪問の頻度、費用の負担など様々です。

薬局の在宅医療については、インスタで詳しく紹介していますので、そちらも併せてご覧ください!



※薬の『宅配』サービスについて

薬を薬局で受け取らず、『宅配』で受け取るサービスがありますが、便利な一方で注意が必要です。「宅配」と聞くと「医師に診てもらって、あとは家で待つだけ」と思われるかもしれませんが、薬剤師と患者さんとでやりとりをする必要があります。

上記アプリの機能「オンライン服薬指導」や「在宅医療・訪問サービス」にも関連しますが、処方薬を受け取るまでには条件や順序があります。既述のとおり、薬局・薬剤師は原則、『処方箋の原本を確認する』まで、患者へ薬を渡すことができないとされています。また実際に薬を渡す前には『患者の状態を対面、もしくは対面に準じる方法で確認する』必要もあるのです。この「対面に準じる方法」が「オンライン服薬指導」です。これらの条件・順序が、『薬局の外』で薬を受け取る場合の注意につながります。

処方箋が患者さんに渡されている場合、薬局は処方箋の原本を確認するまで、薬を発送することができません。この「原本」という点もポイントで、コピーやFAX、画像ではいけません。同じ処方箋を他の薬局でも受付し、薬を重複して受け取られてしまう恐れがあるからです。1つの処方箋で、複数の薬局に提出することはできないのです。

患者さんが処方箋を受け取って、薬局に立ち寄らずにそのまま帰宅すると、処方箋は改めて直接、薬局に持参するか、薬局へ送る=郵便等で『配達』する必要があります。薬を「宅配」してもらうために、処方箋を『配達』するということが生じます。現在は「電子処方箋」という形がスタートしていますが、まだ普及していない地域が多数であろうと思います。

一方で、処方箋は患者に渡されず、病院等から薬局へ渡されるケースもあります。「在宅医療・訪問サービス」や医師の診察がオンラインであった場合に多いケースです。このようなケースでは、処方箋が「原本」である必要性はなくなり、コピーやFAX、画像で代用することができます。

処方箋を確認した次は、『患者の状態を対面、もしくは対面に準じる方法で確認する』という順序があります。これは、薬剤師が処方箋の内容を適正であるか判断するためです。同じ処方内容であっても、患者の状態によっては薬剤師が医師に問い合わせて訂正することがあります。「医師が適正でなかった」と言うと聞こえが悪いですが、薬の専門家である薬剤師が患者さんの状態を確認することで、より適正な医療を提供します。その過程で、医師との診察ですでに話したことを改めて聞かれることもあるかもしれません。億劫に感じることもあるかもしれませんが、安全に薬を使うためにどうかご協力ください!



最後に

「薬局の選び方」と題して、薬局の「種類」(前回の記事)と「サービス」について、2つの記事に分けてご紹介しました。今、利用されている薬局と比較して「こんな違いがあるのか」とか「知らないサービスがあった」とか、少しでもためになる情報があったなら幸いです。

薬剤師として働いていると、患者さんに知ってもらえていないために、不便に感じられてしまったり、説明を聞いてもらえなかったりすることが多々あります。こちらの働きかけが不十分な部分もあると思いますが、多種多様な薬局があるために業界自体が複雑で、分かりにくくなっていることも1つの要因だと思います。この記事をきっかけに、薬局のことをもっと知っていただき、便利に活用していただければと思います!

薬局の選び方~種類編~

皆さんは、薬局や薬剤師を『選んで』いますか?

病院の会計が終わり→紙の処方箋を持って→ただただまっすぐに病院近くの薬局に行っている方が大半かと思います。

そもそも「自分で選ぶ」という感覚がない。病院、医師は『選んで』いても、その後の薬局は『選ばずに』利用している方がほとんどでしょう。もちろん「病院近く」も選び方のひとつです。

しかし、処方箋を提出する薬局は、自分で選ぶことができます*1

自分に合った薬局を選ぶことで…

  • 待ち時間が短くなる
  • 相談がしやすくなる
  • 便利になる

といったメリットが沢山あります。皆さんは薬局、薬剤師をどのように『選んで』いますか?どこの薬局でも同じだと思われるかもしれませんが、そういうわけではありません!衣服や食事のお店と同じように、薬局も自分が求めるモノやヒト、サービスによって選ぶことが大切だと思います。

今回は自分に合った薬局を選ぶために、薬局の「種類」「サービス」について記事を2つに分けてご紹介します。同じように思われている薬局の違いをお伝えしたいと思うので、ぜひご覧ください!まずは薬局の「種類」について*2

 

薬局の種類

門前薬局

互いの近くにある施設を「門前(もんぜん)」と言います。「A病院の門前薬局」や「B薬局の門前病院」という言い方をします。


病院やクリニックのすぐ近くにあるような薬局を「門前(もんぜん)薬局」と言います。

この記事を書くにあたって、この「門前」という言葉の意味を調べてみました。字の通り『門(=処方箋を発行する病院・クリニックなど)の前(や近隣)にある薬局』のことですが、実は他の意味もあるようです。Wikipediaによると「神社仏閣の前や周辺」を示したり、江戸時代の酒店の隠語として値がつくままにどんどん売ってゆくこと」という意味もあるようです。後者の意味合いを薬局にも含めてしまうと、あまり良い印象ではないかもしれません。ですが、病院やクリニックに近いからこその良い所が沢山あります!

まず、その病院等の傾向に合わせた薬が在庫されているため、比較的スムーズに薬を受け取ることができます。また医師との連携が密にされていることから、イレギュラーなケースにも迅速に対応できることが多いです。

一方で、その病院の患者さんが集中して来られるために、混雑するタイミングでは受け取りに時間がかかる場合もあります。

 

ドラッグストア

日用品や市販薬の販売だけでなく、処方箋を受け付ける店舗も珍しくなくなりました。

以前は日用品や市販の薬、サプリメントなどの販売がメインで、処方箋の受付はあまりされていなかった「ドラッグストア」。近年は処方箋を受け付けている店舗も珍しくありません(店舗により異なるので、よくご確認を!)。普段の買い物のついでに、処方された薬を受け取ることができるメリットは大きいです。

ただし上記「門前薬局」のように、病院の傾向に合わせることは難しいと思うので

処方された薬を在庫していない

→店舗外から取り寄せるために時間がかかる

というケースもあると思います。

 

地域の薬局

(上記「門前薬局」や「ドラッグストア」に分類されないような薬局)

近くに処方箋を発行する医療機関がなくても、薬剤師が医療提供を行っています。

イメージしにくいかもしれませんが…門前薬局のように、近くに病院があるわけではないのに、処方箋を受け付けているという薬局もあります。処方箋による調剤のほか、市販の薬やサプリメント、健康食品などの販売にも注力している店舗が多いようです。個人的なイメージですが、特に漢方薬や薬局製剤(薬局が届出をして作った薬)を取り扱っていることも多いです。

上記「門前薬局」や「ドラッグストア」のような分かりやすいメリットは感じにくいかもしれません。しかし「落ち着いた店内でじっくり薬剤師に相談したい」、「医師から処方される薬以外の選択肢として、漢方薬サプリメント、健康食品などを用いた健康全般について相談したい」というような方は、このような薬局が適していると思います。

 

※注意とお願い

上記「薬局の種類」には私個人が考えた、あくまで『大まかな特徴』を示しました。門前薬局だとじっくり相談できないとか、ドラッグストアだと薬が足りないとか、地域の薬局だからメリットが少ないとか、そんなことは全くありません。薬局を選ぶ際の参考としてご覧ください。

特に薬の取り扱い・在庫については、現在、全国的に不安定な状況が続いています。どの種類の薬局でも同様の状況で、コロナ渦や世界情勢、原材料の調達、流通・供給の低下など様々な要因が重なって生じています。薬を入手したくても、できないのです。

門前薬局だからといって、不足や欠品がないわけではありません。逆に、初めて利用するドラッグストアや地域の薬局で薬がなかったとしても、次回に向けて事前に取り寄せてくれる場合もあります。同じ薬がその後も続くようであれば、ご相談いただければと思います。

薬の取り扱い・在庫の状況は、目まぐるしく変化しています。薬局に勤務する薬剤師としてのお願いです。どの種類の薬局でも、患者さんの健康・治療のために働いているので、皆さんもできる限りご協力をお願いします。



次回は

pharmbook93.hatenablog.com

についてご紹介します。

*1:保険や公費の種類、特殊な薬剤が処方されているなど、場合によっては限られてしまうこともあります。

*2:様々なものがあるため、一概にハッキリと分類できるわけではありません。しかし大まかな違いや特徴が分かると、自分にマッチした薬局を選ぶことができるので、ぜひ活用してほしいと思います。